日本化学療法学会雑誌
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イレウス症状を呈した腸結核1手術症例の経験
丸山 博英福永 睦門田 卓士小牟田 清
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1999 年 47 巻 6 号 p. 349-352

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抄録

42歳, 男。1990年12月13日より間欠的に右下腹痛を繰り返していた。注腸検査, 小腸造影では上行結腸狭窄, 回腸に全周性の狭窄と中心部のniche, 小腸の多発性狭窄が認められ, 腸結核が疑われた。腹痛が増強するため, 1991年2月14日手術を施行した。小腸はTreitz靱帯より肛門側210cmから590cmの範囲で11か所の輪状狭窄および上行結腸にも狭窄が認められた。9か所の狭窄の著明な部位を含めて小腸分節的切除術を施行した。切除小腸, リンパ節の迅速病理検査では腸結核 (チールネルゼン染色: 肉芽結節に抗酸菌を認める) の診断であった。回盲部狭窄に対しては回腸末端と横行結腸を側側で吻合した。術後より92年5月まで抗結核薬を投与した。現在, 再燃なく健在である。今日, 結核はいろいろな形で臨床の現場に再登場してきている。狭窄症状があった場合, 鑑別診断として腸結核を疑うことはきわめて重要であることを強調したい。

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