日本化学療法学会雑誌
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14C標識pazufloxacin注射薬のラットおよびマウスにおける体内動態
早川 大善高野 容子十亀 祥久今泉 弘之中島 良文成田 弘和
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1999 年 47 巻 Supplement1 号 p. 88-103

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抄録

ラットおよびマウスに14C-pazufloxacin注射薬5mg/kgを単回および反復静脈内投与し, 血中濃度, 分布および排泄を検討し, 以下の知見を得た。
1.ラットおよびマウスに単回静脈内投与した場合, 全身クリアランス (CLtotal) はそれぞれ1.03, 1.21 1/h/kg, 分布容積 (Vdss) はそれぞれ1.25, 0.99 1/kgであった。血中放射能濃度推移は2相性を示し, 消失相の半減期はそれぞれ1.49時間, 1.91時間であった。
2.ラット, マウスとも主排泄経路は腎排泄であり, ラットでは約77%, マウスでは約68%が尿中に排出され, 残りは糞中に排泄された。ラットでの胆汁排泄率は約18%であった。
3.臓器および組織内濃度は, 腎臓, 肝臓が最も高かった.その他, 顎下腺, 脾臓, 肺, 心臓, 骨髄, リンパ節, 副腎, 膵臓, 筋肉など広く全身に分布した, しかし脳, 脊髄への移行は少なかった。
4.授乳中の雌性ラットに投与し乳汁中移行を検討した結果, 放射能は乳汁中へ高濃度に移行し (血液中濃度比1.5-3.2) 血液中濃度より高く推移した。
5.妊娠20, 21日目の雌性ラットに投与後, 放射能は胎盤を通過して胎児へ移行し (母獣血漿濃度比0.2-0.8), 胎児中濃度は母獣血漿中濃度よりやや遅れて推移した。
6.妊娠マウスの全身オートラジオグラフィーにおいて, 放射能は母獣の脳, 脊髄, 眼球以外の全身に広く分布し, 胎児には母獣よりやや遅れて移行した。
7.ラットに1日1回10日間反復静脈投与した場合, 排泄パターンの変化は認められず, 最終投与終了後放射能は速やかに排泄され体内への残留は認められなかった。
8.ラットに1日1回10日間反復投与した場合の体内分布は単回投与とほぼ同様であった.他のキノロン系抗菌薬と比較して特に蓄積性を示す臓器, 組織は認められなかった。

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