日本化学療法学会雑誌
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新キノロン系抗菌薬gatifloxacin及びその光学異性体の体内動態
I. 各種実験動物における体内動態
大家 毅石川 紅美町田 正明草嶋 久生石田 了三内田 広
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1999 年 47 巻 Supplement2 号 p. 112-123

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抄録

新キノロン系抗菌薬であるgatifloxacin (GFLX), 並びにその光学異性体 (S体, R体) のマウス, ラット, ウサギ, イヌ及びサルにおける体内動態を, それぞれ単独の静脈内及び経口投与により検討した。GFLXは経口投与後, いずれの動物種においても速やかに吸収された。ラット, イヌ及びサルにおけるバイオアベイラビリティは87~116%であり, これらの動物種ではほぼ完全に経口吸収されることが窺われた。また, 定常状態における分布容積はいずれの動物種においても2L/kg前後であり, 良好な組織分布が示唆された。一方, 全身クリアランスは大動物であるほど低下し, 血中半減期は, マウス, ラット, ウサギ, イヌ及びサルでそれぞれ1.1, 1.6, 1.9, 6.0及び2.2時間と, 大動物ほど延長した。血清蛋白結合率は, 15~27%と低値であった。いずれの動物種においても, GFLXの投与後24時間までに未変化体の排泄はほぼ終了していた。投与後48時間までには, ラット, イヌ及びサルにおいては約40%以上が, マウス及びウサギにおいては20~30%がそれぞれ未変化体として尿中へ排泄された。GFLXはラットにおいて胆汁からも排泄された。尿中ではそのほとんどが未変化体であったのに対し, 胆汁中では大部分がグルクロン酸抱合体であった。GFLX, S体及びR体の実験動物における血中動態, 吸収, 血清蛋白結合及び排泄に, 大差は認められなかった。

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