日本化学療法学会雑誌
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新キノロン系抗菌薬gatifloxacin及びその光学異性体の体内動態
II. 実験動物における体内動態の光学選択的分析法による検討
町田 正明伊澤 成堀 弥石田 了三内田 広
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キーワード: 光学異性体, 体内動態
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1999 年 47 巻 Supplement2 号 p. 124-130

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抄録

新キノロン系抗菌薬gatifloxacin (GFLX) は, 化学構造中に1個のキラル炭素を有するが, その2種の光学異性体が同等の抗菌活性を有することからラセミ体として開発されている。今回我々は, この2種の光学異性体について, 高速液体クロマトグラフィー (HPLC) による, 生体試料中濃度の光学選択的同時定量法を確立した。本法は, 血漿 (血清) 及び尿中のR及びS体を光学活性なL-valinamideの誘導体とした後, このジアステレオマーを逆相HPLCにより分離定量するものである。つぎにこの方法を用い, ラット, イヌ及びサルにおける生体内光学異性化の有無について検討した。クロマトグラム上において, GFLXの光学異性体を静脈内投与後の血清試料には互いの対学体のピークは観察されず, これらは生体内で異性化しないものと考えられた。さらにサルにおいて, 本薬物を経口投与後の血中動態及び尿中排泄について検討したところ, 光学異性体問で大差は認められなかった。以上のことから, GFLX光学異性体は実験動物で同様の生体内挙動を示すものと考えられた。

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