日本化学療法学会雑誌
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新キノロン系抗菌薬gatifloxacinの臨床第I相試験
II. 反復経口投与
中島 光好植松 俊彦小菅 和仁草嶋 久生大家 毅石田 了三内田 広
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1999 年 47 巻 Supplement2 号 p. 208-217

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抄録

健常成人男子6名を対象に, 新キノロン系抗菌gatifloxacin (GFLX) 300mgを, 1日2回, 7日間 (計13回) 反復経口投与し, 安全性および体内動態について検討した。血液生化学検査において, 7日間の投与終了後, 1例の被験者にGPTの一過性の上昇が認められたが, 4日目以降には正常範囲に復した。その他の血液生化学検査, 自覚および他覚症状, 血圧, 脈拍数, 体温, 血液学的検査, 尿検査, 心電図, 脳波, 聴力検査, 眼科的検査, 平衡機能検査には, いずれも異常は認められなかった。また, 薬物による尿中結晶も認められなかった。一方, 投与初日, 4および7日目における血中動態に, 投薬回数の増加による変化は認められず, 血清中濃度の実測値はシミュレーション曲線によく一致した。尿中排泄も速やかであり, 総投与量に対する未変化体の累積尿中排泄率は最終投与後72時間では78.8%であった。血清中濃度および尿中排泄は, 投与開始後2~3日で定常状態に達し, 本剤の体内動態は反復投与時においても線形性が保たれ, 蓄積性はないと考えられた。
以上, 本剤は健常人における安全性に問題はなく, その良好な体内動態, ならびに強い抗菌活性と広範囲な抗菌スペクトルを考慮すると, 各種感染症に対し十分な治療効果が期待できると考えられた。

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