Helicobacter pylori除菌療法として, 本邦ではclarithromycin, amoxicillinとprotonpumpinhibitor の3剤併用療法が検討されているが, これら薬剤の耐性菌が報告され問題になりつつある。われわれは, 臨床分離H.pylori25株を用いて各種抗生物質の薬剤感受性測定を行い, あわせて感受性薬剤の耐性獲得試験を実施した。この基礎的検討からrifampicin (RFP) がH.pyloriに感受性を示し, かつ耐性獲得を示しにくいことを確認した。これらの成績をもとに, 結核および非定型抗酸菌症治療のためRFPを服用している患者40名を対象にH. pylori血清IgG抗体価測定と [13C] urea breath testを実施した。血清抗体価からみたRFP服用患者のH.pylori保菌率は65%であると共に, RFP服用によるH.pyloriの菌陰性化率は23.1%であった。現在, 3剤併用療法のうちの2剤として検討されているものの, 耐性化が懸念されているdarithmmycinとamoxicillinの代替薬剤としてのRFPの有効性が示唆された。