2000 年 48 巻 12 号 p. 908-912
食道癌19症例 (原発巣13検体, 転移巣12検体, 生検組織13検体) を対象にコラーゲンゲルドロップ包埋培養による抗癌薬感受性試験 (CD-DST) を行った。CD-DSTの培養成功率は, 原発巣85%, 転移巣92%, 生検組織69%であった。7日間培養における食道癌の腫瘍増殖率 (7.33±8.43) は胃癌のそれ (2.68±2.95) に比べ有意に高値を示した。原発巣の薬剤感受性は, cisplatin 45%, 5-fluorouradl 45%, mitomycinc 40%, adriamycin 20%, etoposide 18%であった。食道癌では多剤耐性の腫瘍の比率は27%であり, 胃癌のそれ (67%) に比べ低率であった。原発巣の薬剤感受性 (T/C比) と転移巣のそれとの間には有意の相関を認めた。5-fluorouracilの抗腫瘍効果はその接触条件によって差を認めなかった。CD-DSTにより, 計測可能病変を有する4例中3例の臨床効果を予測することが可能であった。