日本化学療法学会雑誌
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セフェム系抗菌薬cefoselisの下顎組織への移行に関する検討
中川 清昌栗山 智有山本 悦秀
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2000 年 48 巻 3 号 p. 191-194

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抄録

新しいセフェム系抗菌薬であるcefoselis (CFSL) の血漿, 歯肉, 下顎骨への移行濃度を測定した。10名に対しCFSLlgを60分で点滴静注し, 評価可能であった9名の点滴終了直後の血漿中濃度は22.0μg/mlから46.0μg/ml (平均32.6μg/mL) であった。さらに30分から120分経過後の血漿中濃度は8.82μg/mlから29.2μg/ml (平均18.3μg/mL) であった。また, 推定半減期は79.05分であった。歯肉移行濃度は8.34μg/gから27.10μg/ml (平均17.3μg/g) であり, 歯肉/血漿濃度率は平均99.5%であった。一方, 下顎骨移行濃度は0.45μg/gから7.25μg/g (平均2.8μg/g) であり, 下顎骨/血漿濃度率は21.2%であった。この組織移行は他の主なセフェム系抗菌薬と比較してきわめて良好な結果であり, 本剤の特徴と考えられた。また, 投与後に副作用と思われる異常はまったく認められなかった。以上の結果よりCFSLは下顎組織への移行に優れ, 歯科口腔外科領域において有用な薬剤と考えられた

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