日本化学療法学会雑誌
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呼吸器感染症に対するgatifloxacinの臨床的検討
大道 光秀平賀 洋明
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2000 年 48 巻 7 号 p. 553-560

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抄録

新しく開発されたフルオロキノロン系抗菌薬gatinoxacin (GFLX) を呼吸器感染症患者に使用し, 基礎的, 臨床的検討を行った。
1. 基礎的検討
基礎的検討は慢性気管支炎1例に対して行い, 1回200mgを1日2回, 7日間投与し, 投与開始日, 3日後および開始5日後に血清, 喀痰を採取した。開始日の6時間以降から喀痰中濃度は血清中濃度を上回り, 血清比は152%から238%と良好な喀痰移行性を示した。最高喀痰中濃度は6.94μg/g, 最高血清中濃度は2.91μg/mLであった。
2. 臨床的検討
急性気管支炎1例, 慢性気管支炎11例, 細菌性肺炎5例, クラミジア肺炎1例, マイコプラズマ肺炎1例, 肺気腫の二次感染4例, 気管支拡張症の二次感染1例, 陳旧性肺結核の二次感染1例, 気管支喘息の二次感染1例および肺線維症の二次感染1例の合計27例に対し, 1回100mg, 150mgもしくは200mgを1日2回投与, 7日間から14日間経口投与した。臨床効果は, 著効2例, 有効22例, やや有効1例, 無効2例で, 有効率は88.9%であった。副作用は, 1例で軽度の胃部不快感が発現した。また, 臨床検査値異常変動はS-GPT上昇, S-GOT上昇およびγ-GTP上昇が各1例に認められたが, 臨床上問題となるものではなかった。
以上の結果より, GFLXは呼吸器感染症に対し, 有用な薬剤であると考えられた。

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