日本化学療法学会雑誌
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Mycoplasma pneumoniaeに対するmoxifloxacin, 他のニューキノロン系薬およびclarithromycinの抗菌活性
濱本 久美子藤本 直幸張 曄荒井 澄夫
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2000 年 48 巻 9 号 p. 708-712

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抄録

New quinolone系抗菌薬剤のうち, 新しくBayer製薬会社で開発されたmoxifloxacinおよびsparfloxacin, levofloxacin, ciprofloxacinおよびmacrolide系薬剤のclarithromydnのMycoplsama pneumoniaeに対する抗菌活性を検討した。マイコプラスマ感染症の患者の咽頭ぬぐい液から分離されたM. pneumoniae 100株の分離年度別の内訳は1986年以前に分離された39株, 1986~1990年までに分離された24株および1991~1995年までの37株でありこれらの株についてその感受性を, それぞれの薬剤のminimum inhibitory concentration (MIC), およびminimum bactericidal concentration (MBC) を指標として測定した。new quinolone抗菌剤のうち実験に供された薬剤のMIC, MBCは, ともにmoxifioxacinがもっとも低い濃度で抗M. pneumoniae活性を示した。そのMIC60およびMBC50はそれぞれ, 0.08μg/mL, 0.08μg/mLであった。以下, 抗M. pneumoniaeの活性はsparfloxacin, levofloxacin, ciprofloxacin, の順でありそのMIC50は0.15μg/mL, 0.6μg/mL, 2.5μg/mLであり, MBC50は0.3μg/mL, 1.25μg/mL, 2.5μg/mLまたclarithromycinではMIC50, MBC50はそれぞれ0.008μg/mL, 0.015μg/mLであった。このことからmoxifloxacinでは, 強い抗M. pneumoniae活性を有し今後, 臨床での有用性が期待される。

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