2001 年 49 巻 11 号 p. 653-658
1999年1~6月に慶応義塾大学車央臨床検査部にて血液培養検体から分離・同定した197株を対象とし, meropenem (MEPM)の抗菌力を対照薬剤とともに測定した。さらに, 前回同様に調査した1997年10月~1998年3月の分離株での成績と比較してMEPMに対する血液山来の臨床分離株の感受性の動向を検討し, 以下の結果を得た。
1. MEPMを含むカルバペネム系薬は, グラム陽性菌のうち, 本来抗菌活性を期待できないmethicillinesistant Staphylococcus aureusなどのブドウ球菌の多剤耐性株に対する抗菌力は不十分であったが, その他の菌株に対してはおおむね良好な抗菌力を示した。
2. グラム陰性菌に対しては, MEPMはimipenem (IPM) およびpanipenem (PAPM) に比べ優れた抗菌力を示した。またPseudomonas aeruginosaにおいて, IPM, PAPMでMICが16μg/mL以上の株が認められたが, MEPMでは認められなかった。
3. 前回調査時の成績と比較してMIC50, MIC90いずれについても2管以上上昇した菌種はなく, MEPMの臨床分離株に対する抗菌力に顕著な耐性化の傾向は認められなかった。