日本化学療法学会雑誌
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術後感染予防薬の選択基準
外科系各科アンケート成績の比較
品川 長夫真下 啓二岩井 重富横山 隆竹山 廣光藤井 修照
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2001 年 49 巻 9 号 p. 551-556

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抄録

術後感染予防薬の選択基準についてアンケート調査した。回答者数 (回答率): 406/643名 (63%)。選択基準として, 「手術時に汚染すると予想される細菌を目標とする」, 「汚染菌の発育阻止可能な濃度が目的部位で達成できる薬剤を選ぶ」と「重篤な副作用が考えられる薬剤であってはならない」については, 全科ともに75%以上という高い合意度であった。「常在菌叢などの生体環境を乱さない薬剤を選ぶ」と「術後感染症の治療薬として新しい薬剤は残しておく」の合意度はやや低かったが, 合意は得られている事項と判断された。目標細菌として全科がブドウ球菌属をあげたが, これに加え一般外科, 産婦人科および泌尿器科は大腸菌を, さらに前記3科と耳鼻咽喉科はBacteroides fragilisgroupをあげた。MRSAや腸球菌を目標とする科はなかったが, 耳鼻咽喉科では緑膿菌を目標とする医師が半数以上を占めた。予防薬としては, ペニシリン薬あるいは第1-2世代セフェム薬が選ばれた。

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