日本化学療法学会雑誌
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Streptococcus pneumoniaeに対するepigallocatechin gallateの殺菌作用
伊藤 勇大久保 幸枝福地 邦彦原 征彦島村 忠勝
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2002 年 50 巻 2 号 p. 118-125

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抄録

Streptococcus pneumoniaeに対する緑茶抽出エキスおよび茶から抽出, 精製したカテキン ((-) epigallocatechin gallate: EGCg) の抗菌・殺菌作川について検討した。菌株は標準株9株と臨床分離株49株を用いた。これら面菌株に対するEGCgのMICは250μg/mL (MIC90) であった。殺菌実験において緑茶抽出エキスは, 通常飲川濃度 (2.5%) で十分な殺菌作川を示した。EGCg500μg/mLでは1×104/mLの菌 (初発菌数) が5時間で死滅した, しかしEGCg250, 125μg/mLでは初発菌数の1/100~1/1,000にまで減少した生菌数が再び増加した。そこでこの系において, 6時間経過した時点でMIC未満のEGCgを添加したところ, 1/2MICの添加によって再増殖することなく死滅することがわかった。さらにpenicillin-resistant S. pneumoniae (PRSP) 11株に対するEGCgとペニシリンとの併用効果について検討した。1/4MICのEGCgを併川することによって, 高度耐性株が感受性株と同じ濃度のペニシリンで殺菌されることがわかった, そこで, PCR法を用いてこれら耐性株の耐性遺伝子の検出を行ったところ, penicillin binding Protein (PBP) 2 B class Bが8株検出された。PBP 2 B class Aは0株, 他の3株は別の耐性獲得機序によるものと思われた, このことから, PRSPに対するペニシリンとEGCgの併用効果は, PRSPの耐性獲得機序に関係なく得られることが判明した。

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