日本化学療法学会雑誌
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北部九州地域におけるVREの分離例とlinezolidに対する抗菌薬感受性
永沢 善三草場 耕二一世 靖子小林 とも子相本 秀臣有馬 純徳増永 晴子永山 在明
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キーワード: VRE, 抗菌薬感受性
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2002 年 50 巻 4 号 p. 209-214

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抄録

Vancomycin-resistant enterococci (VRE) は米国において治療への難治性から重症院内感染症の原因上菌として注目され, その増加は社会的に問題化している。一方, ヨーロッパ地域では院内感染によるVREの検出率は米国に比べ低いが, 家畜などにvanA遺伝上子群を保有する大きな感染源の存在が指摘されている。日本では1996年に東京, 京都でVREがはじめて分離され, その増加が懸念されていたが, VREの分離例に関する報告は現在においても少ない。そこで, 北部九州地域でVREの分離例について調査した結果, 4施設9名の患者よりEnterococcus faecalis vanA 2株, E. faecalis vanB 3株, Enterococcus faecium vanA 4株, E. faecium vanB 1株の合計10株を分離した。また, 本症例菌株とEnterococcus gallinarumおよびEnterococcus casselifzavusの21株を対象にvancomycin, teicoplanin, rifampicin, ampicillin, linezolidに対する抗菌力を寒天平板希釈法で検討した結果, わが国で唯一VRE感染症に適応をもつlinezolidはvanA, oanB, vanC-1, vanC-2/3のいずれかを保有する菌株すべてに対しMICは≦2μg/mLであった。

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