2002 年 50 巻 4 号 p. 232-235
Mycobacterium avium complex (MAC) には集落形態を異にする3種の集落変異株, すなわちSmT株, SmO株およびRg株があるが, それらのビルレンスは異なることが知られている。今回は同一のMAC菌株から分離された各集落変異株がrifabutin, rifampicin, streptomycin, kanamycin, ethambutol, isoniazid, ofloxacin, cipronoxacinおよびcefbxitinに対してどのような感受性を示すかについて検討した。その結果,(1) ethambutolとisoniazidを除くいずれの供試薬剤に対しても, SmT株はSmO株に比べて, その感受性が著しく低いこと,(2) Rg株はSmT株とSmO株の中間型の薬剤感受性を示すことが明らかになった。これらのことは, 臨床材料より分離されたMAC菌株の薬剤感受性判定においては, 供試菌株の集落形態を知ることが重要であることを示している。