2002 年 50 巻 5 号 p. 273-279
Pazufloxacin注射薬 [puzufloxacin (PZFX) mesilate] 0.5gを0.5時間点滴静注した時のヒト血中濃度を再現したシミュレーションモデルを用い, imipenem/cilastatin (IPM/CS) 耐性 (IPM/CSMIC: 25μg/mL, IPM換算) のPseudomoms aeruginosaおよびmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) に対する殺菌効果と菌の耐性化, ならびにpostantibiotic effect (PAE) を, ceftazidime (CAZ, 1g/1h d. i.), IPM/CS (0.59/0.5hd. i.), またはvancomycin (VCM, 0.59/1hd. i.) およびarbekacin (ABK, 0.1g/1hd. i.) を点滴静注した場合と比較した. PZFXおよびCAZ感受性 (PZFXMIC: 0.39μg/mL, CAZMIC: 3.13μg/mL, IPM/CSMIC: 25μg/mL) のP. aeruginosa S-1410の場合, PZFX注射薬投与モデルの短時間殺菌効果はCAZやIPM/CSに比べて強く, PZFXの感受性が低下したP. aeruginosa S-1502 (PZFXMIC: 3.13μg/mL, CAZMIC: 3.13μg/mL, IPM/CSMIC: 25μg/mL) の場合も短時間殺菌効果はPZFX注射薬投与モデルがもっとも優れていた. MRSAF-2341 (PZFXMIC: 0.2μg/mL, VCMMIC: 1.56μg/mL, ABKMIC: 1.56μg/mL) の場合, PZFX注射薬投与モデルの短時間殺菌効果はVCMやABKよりも強かった.なお, いずれの場合も, 薬剤作用後, 用いた菌の感受性に変化は認められなかった. また, PZFX注射薬投与モデルおける0.5時間作用時のPostantibiotic effect (PAE) はP. aeruginosa S-1410で5.2以上, P. aeruginosa S-1502で0.7h, MRSAF-2341の場合, 0.8hであった.