日本化学療法学会雑誌
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基礎疾患を有する中等症肺炎に対するfosfomycinとsulbactam/cefoperazoneの併用療法に関する検討
小橋 吉博大場 秀夫沖本 二郎多田 敦彦河原 伸石田 直二木 芳人松島 敏春
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2002 年 50 巻 7 号 p. 429-434

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抄録

In vitroにおいてfbsfomycin (FOM) とsulbactam/cefoperazone (SBT/CPZ) の優れた併用効果が報告されている. 今回その併用の有用性を検討するため, 中等症肺炎に対する臨床的有用性を検討した. SBT/CPZ単独療法群 (単独群) とFOM+SBT/CPZ併用療法群 (併用群) の2群間での群間比較検討を行った. 評価症例数は単独群17例に対し, 併用群18例で, 有効率は単独群88.2%に対し, 併用群94.4%と併用群で高かったが有意差はなかった. 安全性に関しては, 副作用が併用群で1例あり, 臨床検査値異常変動が単独群11.8%に対して, 併用群で27.8%と併用群で高かった. そのため, 臨床 的有用性は単独群88.2%に対し, 併用群83.3%と, むしろ併用群で低かった. 今回の検討結果から, SBT/CPZはFOMと併用することにより, 中等症肺炎に対する有効性では優れている傾向があるものの, 安全性ではむしろ問題がある傾向にあった. したがって, 慎重な経過観察を行えば有用な治療法のひとつと考えられた.

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