日本化学療法学会雑誌
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Aspergillus fumigatusによるマウス呼吸器感染に対するmicafunginの防御効果
松本 哲若井 芳美渡部 悦子牧 克之池田 文昭俵 修一武藤 誠太郎松本 文夫桑原 章吾
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2002 年 50 巻 Supplement1 号 p. 37-42

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抄録

Aspergillus fumigatusによるマウス呼吸器感染に対するmicafungin (MCFG) の防御効果をamphotericin B (AMPH-B), fluconazole (FLCZ) およびitraconazole (ITCZ) と比較検討した。MCFGはcyclophosphamide (CY) により易感染状態を惹起したマウスのAfumigatus呼吸器感染に対して0.5mg/kg以上の投与量でcontrol群と比較して有意な延命効果を示した (P<0.0125)。また, CY投与マウスのA.fumigatusによる呼吸器感染に対するMCFGのED50値は0.26~0.45mg/kgであり, AMPH-BのED50値とほぼ同等の値を示し, FLCZおよびITCZよりも明らかに小さい値であった。また, CY投与マウスのAfumigatus呼吸器感染において感染24時間後から投与を開始したときのMCFGおよびAMPH-BのED50値はそれぞれ1.21および0.50mg/kgであり, 感染1.5時間後より投与を開始したときよりそれぞれ3.8および1.9倍大きい値を示した。5-fluorouracilまたはhydrocortisone投与マウスのA.fumigatus呼吸器感染に対するMCFGのED50値は0.66または1.12mg/kgであり, AMPH-Bより1.3または4.1倍大きい値を示した。以上の結果より, 種々の条件で易感染状態を惹起したマウスのA. fumigatusによる呼吸器感染に対して, MCFGの防御効果はAMPHBと同等ないしはやや劣り, FLCZおよびITCZよりも優れることが示唆された。

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