日本化学療法学会雑誌
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急性白血病の化学療法後に合併する感染症対策の現状
Japan Adult Leukemia Study Groupの実態調査の解析
吉田 稔秋山 暢高橋 正知田口 博國竹内 仁内藤 健助程原 佳子松島 孝文松田 光弘
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2003 年 51 巻 11 号 p. 703-710

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抄録

Japan Adult Leukemia Study Group (JALSG) における急性白血病治療時の感染症対策の実態調査アンケートの結果を報告する。調査は2001年秋に行い, JALSG参加全196施設中125施設 (64%) から回答が得られた。細菌感染予防はpolymixin B (31%) とニューキノロン薬 (38%) が, 真菌感染予防はfluconazole (FLCZ, 41%) とamphotericin B (AMPH-B, 42%) が多く, 予防なしはそれぞれ6%と3%にすぎなかった。Febrile neutropeniaのEmpiric therapy (ET) はcephemやcarbapenemの単剤療法が35%で, それらとアミノ配糖体との併用療法が50%で行われていた。Vancomycinを初期から使用する施設は1%であった。ETが無効の場合は3~4日後に51%の施設が抗真菌薬を追加しており, 薬剤はFLCZ (66%) がAMPH-B (28%) より多かった。真菌症の治療はカンジダ敗血症は比較的安定した病状ではFLCZが (59%), 肺炎の合併や病状が不安定な場合にはAMPH-B (57%) が選択された。一方アスペルギルス症ではAMPH-Bが用いられるが, 投与量は0.5~0.7mg/kgが44%で, 本症の治療で推奨される1mg/kg以上を使用する施設は42%であった。顆粒球コロニー刺激因子は急性骨髄性白1血1病ではlife threatening infectionの場合に投与がもっとも多かったが (27%), 急性リンパ性白血病では発熱前の予防的投与が多かった (52%)。以上の結果は今後, わが国の好中球減少患者の感染症治療ガイドラインを作成する際に参考になると考えられた。

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