日本化学療法学会雑誌
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小児由来肺炎球菌の薬剤感受性とPBP遺伝子の検討
織田 慶子沖 真一郎
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2003 年 51 巻 12 号 p. 745-749

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抄録

2001年に小児から分離された肺炎球菌96株の経口, 静注抗菌薬に対する薬剤感受性, 血清型, PBP遺伝子の変異を検討した。呼吸器由来91株, 血液2株, 髄液3株であった。全体のペニシリン耐性率は (penicillin Gに対するMICが0.125μg/mL以上を耐性とする) 70/96, 73%であった。経口抗菌薬でもっとも抗菌力に優れていたのはfaropenemであった。静注用セフェム系薬ではMIC90ではcefotaxime, ceftriaxone, cefpirome, cefozopranに1μg/mLでほとんど差がなく, カルバペネム系薬のpanipenemが0.125μg/mLと良好な抗菌力を示すのみであった。血清型では23F, 6B, 19Fが全体の73%を占め (70/96), 特に6Bは約1/3がMIC 2μg/mL以上であった。現在米国で行われている7価肺炎球菌ワクチンでは今回の分離株の83%をカバーすることができた。PBP遺伝子の検討では, たとえペニシリン感受性菌でも耐性遺伝子をもつ株が存在しており, PBPの変異の広がりが危惧された。

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