日本化学療法学会雑誌
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細菌性髄膜炎の初期治療における臨床細菌学的検討
会沢 治朗石和田 稔彦黒木 春郎満田 年宏相原 雄幸菅野 治重河野 陽一
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キーワード: 細菌性髄膜炎
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2003 年 51 巻 3 号 p. 115-119

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抄録

細菌性髄膜炎は小児科領域において代表的な重症感染症でありその初期治療は重要である。起炎菌不明時の同疾患の初期治療に際し, 主要起炎菌であるHaemophilus influenzaeStreptococcus pneumoniaeの薬剤感受性の傾向を把握するために1993年1月から2000年1月の間に発症した細菌性髄膜炎症例由来の両菌の抗菌薬感受性を測定した。H. influenzaeに対するMIC90はceftriaxone (CTRX) が最良でありS. pneumoniaeに対するMIC90はpanipenem (PAPM) およびbiapenemが最良であった。これまではampicillinとcefotaximeの併用が初期治療として一般的に行われていたが, 薬剤感受性の結果からは, 現時点ではCTRXとPAPMなどのカルバペネム系薬剤の併用が起炎菌不明時の髄膜炎初期治療薬として選択し得ると思われる。また, 両剤の併用にあたって拮抗作用の有無を確認する必要があるが, fractional inhibitory concentration index (FIC index) を用いて評価を行ったところ拮抗作用は認めなかった。

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