2003 年 51 巻 3 号 p. 127-131
血液培養検査より分離・同定されたPseudomonas aeruginosa165株に対する各種抗菌薬の抗菌力をI期 (1987年以前) II期 (1989-1993年), III期 (1995-1999年) と経年的に比較した。対象とした薬剤はpiperacillin (PIPC), ceftazidime (CAZ), cefepime (CFPM), cefozopran (CZOP), amikacin (AMK), tobramycin (TOB), meropenem (MEPM), imipenem/cilastatin (IPM/CS), panipenem/betamipron (PAPM/BP), levofloxacin (LVFX), ciprofloxacin (CPFX), sparfloxacin (SPFX), norfloxacin (NFLX) の計13薬剤で, MICの測定は日本化学療法学会標準法にしたがい, Intermediate-Resistantrate (IR率) はNCCLSドキュメントに記載されたS・I・Rのカテゴリーを用いた。MIC50およびMIC90の比較では, β-ラクタム系薬はI期, II期およびIII期を通して同等または1管差以内であった。また, 他の抗菌薬は, I期とII期では同等または2管差以内であったが, H期とIII期ではMIC50, MIC90ともに著しい耐性化を示した。IR率の比較では, I期とII期ではCAZ, CFPM, CZOP, LVFX, AMK, TOBが低下し, PIPC, IPM/CS, MEPM, CPFX, NFLXは上昇した。同様にII期とIII期の比較では, PIPCのみが低下し, 他の薬剤は上昇した。特に, IPM/CS, MEPM, CPFX, NFLXは経年的にIR率が上昇した。今後, 感受性サーベイランスを行う際は, MICのみの比較ではなく, IR率も含めてサーベイランスを行い, 耐性菌出現の有無を監視する必要がある。また, empiric therapyでの抗菌薬の選択は, 各施設での感受性サーベイランスの結果をもとに, 選択を行う必要がある。