日本化学療法学会雑誌
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Tazobactam/piperacillinが有効であったESBL産生大腸菌による急性腎盂腎炎の1症例
伊藤 重彦中村 司朗村谷 哲郎松本 哲朗
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2003 年 51 巻 6 号 p. 347-351

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抄録

Tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC) が有効であった基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ (ESBL) 産生Escherichia coliによる急性腎盂腎炎を経験した。症例は63歳, 男性で, 平成14年7月30日, 転落事故による胸部外傷で人院した。血気胸に対して胸腔ドレナージが, 多発肋骨骨折による疼痛管理で硬膜外チューブが挿入された。また感染予防目的で入院直後から7日間cefazolinが投与された。尿道カテーテルを留置した翌日 (入院12日目) に38.8℃の発熱を認め, その後も悪寒戦'1栗を伴う弛張熱が続いた。人院16日目の血液および尿検体からESBL産生大腸菌が分離されたため, ESBL産生大腸菌による急性腎盂腎炎の診断でただちにTAZ/PIPC (2.591日2回) を6日間投与したところ速やかに解熱した。TAZ/PIPC中止1週間目より急性腎盂腎炎が再発したため, さらにTAZ/PIPC (2.591日2回) を10日間投与した。起炎菌の保有するβ-lactamaseの塩基配列を決定したところ, UOE-2 (CTX-M-14) 型ESBLおよびTEM-1を産生する大腸菌であった。TAZ/PIPCはESBL産生大腸菌による尿路感染症に有用であった。今後ESBL産生菌の分離頻度は増加すると考えられ, ESBL産生菌による感染症の可能性を常に考慮しておくことが重要である。

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