日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
呼吸器感染症患者におけるtelithromycinの有効性, 安全性および薬物動態の検討
渡辺 彰二木 芳人青木 信樹小田切 繁樹河野 茂
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 51 巻 Supplement1 号 p. 224-239

詳細
抄録

呼吸器感染症患者を対象として, 新規ケトライド系経口抗生物質telithromycin (TEL) の有効性, 安全性および薬物動態を3つの臨床試験を通じて検討した、, 第II相一般臨床試験 (7日間投与試験) ではTELの有効性および安全性をTEL 600mg1日1回7日間投与で検討した。次いで第II相臨床薬理試験 (臨床薬理試験) では, TEL 600mg1日1回7日間投与におけるTELの喀痰中濃度を7日間経時的に測定し, 主としてTEL 600mg投与の妥当性について検討した。さらに, 第III相一般臨床試験 (5日間投与試験) では投与方法を7日間投与試験と同様としたが, 投与期間を5日間に短縮しTELの有効性, 安全性および新たに最終評価 (治療成功率) を評価項目に加え検討した。
1.臨床効果・最終評価
7日間投与試験, 臨床薬理試験および5日間投与試験の臨床効果は, それぞれ23/25 (92.0%), 6/7および89/96 (92.7%) であった。また, 5日間投与試験の最終評価 (治療成功率) は83/97 (85・6%) であった。7日間および5日間投与試験でペニシリンまたはマクロライド耐性の肺炎球菌が原因菌と判定された10例における臨床効果はすべて「有効」であった。
2.細菌学的効果
7日間投与試験, 臨床薬理試験および5日間投与試験の細菌学的効果は, それぞれ6/8, 1/3および37/43 (86.0%) であった。
3.薬物動態
TELの喀痰中および血漿中の最高濃度 (平均値) は, それぞれ8.45μg/mLおよび1.78μg/mLであり, 喀痰中への平均移行率 (最高喀痰中濃度/最高血漿中濃度) は4.75であった。
4.安全性
7日間および5日間投与試験の副作用発現率は, それぞれ13/29 (44.8%), 41/119 (34.5%) であった。臨床薬理試験では副作用は発現しなかった。比較的発生頻度が高かった副作川は, 消化管障害および肝臓・胆管系障害であり, いずれも軽度~ 中等度で, 後遺症なく回復あるいは軽快した。
3試験の結果より, TELは呼吸器感染症に対して優れた有川性および喀痰への良好な移行を示し, 呼吸器感染症に対して600mg 1日1回5日間投与で臨床的にきわめて有用性の高い薬剤と考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top