日本化学療法学会雑誌
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市中肺炎に対するtelithromycinの臨床評価
Levofloxacinを対照薬とした第III相二重盲検比較試験
河野 茂渡辺 彰青木 信樹二木 芳人
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2003 年 51 巻 Supplement1 号 p. 255-278

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抄録

新規の経口ケトライド系抗菌薬であるtelithromycin (TEL) の市中肺炎に対する有効性, 安全性を検討する目的でlevofloxacin (LVFX) を対照薬として二重盲検, 無作為化, 他薬対照, 並行群間, 非劣性比較試験を実施した。TELを1回600mg, 1日1回 (TEL群), またはLVFXを1回100mg, 1日3回 (LVFX群) いずれも7日間投与した。得られた成績は以下のとおりである。
1.臨床効果
臨床効果解析対象207例に対する有効率は, TEL群936% (102/109), LVFX群87.8%(86/98) であり, TEL群のLVFX群に対する臨床効果の非劣性が検証された。
2.細菌学的効果
細菌学的効果解析対象205例のうち判定不能例119例を除く86例における消失率は, TEL群73.9%(34/46) およびLVFX群100.0% (40/40) であった。TEL群で消失が認められなかった菌種は, 主としてHaemophilus influenzaeであった。耐性肺炎球菌に対して, TEL群ではerythromycin耐性肺炎球菌1株を除き, すべて消失した。
3.安全性
安全性解析対象244例のうち, 不明例4例を除く副作用発現率は, TEL群336% (42/125), LVFX群33.9% (39/115) であり, 副作川発現率において両群間に有意差は認められなかった。
以上の成績より, TEL1回600mg1日1回7日間投与は市中肺炎の治療に対し, 高い臨床的有用性が期待できるものと考えられた。

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