日本化学療法学会雑誌
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Telithromycin第II相臨床試験および第III相臨床試験において分離されたStreptococcus pneumoniaeおよびHaemophizus influenzaeの抗菌薬感受性
岡本 博樹新井 進佐藤 弓枝小林 寅哲
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2003 年 51 巻 Supplement1 号 p. 71-76

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抄録

1999~2001年に日本で実施されたtelithromycin (TEL) の第II相および第III相臨床試験において分離されたStreptococcus pneumoniae 103株およびHaemophilus influenzae 174株のTEL, erythromycin A (EM), clarithromycin (CAM), azithromycin (AZM), clindamycin (CLDM), cefdinir (CFDN), levofloxacin (LVFX) およびpenicillin G (PCG) またはampicillin (ABPC) に対する感受性を測定した。S. pneumoniaeについては, ermAM, mefA/E耐性遺伝子の有無により分類して評価した。S. pneumoniaeのCAM, AZM, CLDM耐性は増加しており, これらの抗菌薬のMIC50はそれぞれ, 1999年分離株では0.5, 0.5, 0.03μg/mL, 2000年分離株では32, >16, 32μg/mL, 2001年分離菌では>64, >16, 32μg/mLであった。一方, 3年間の分離株に対してTELは, ermAM, mefA/E耐性遺伝子の有無に関係なく強い抗菌活性を示し, そのMIC範囲は3年間でほとんど変化しなかった (0.015~0.25μg/mL)。H. influenzaeのABPC耐性は増加しており, ABPCのMIC90は, 1999年分離株では1μg/mL, 2000および2001年分離株では8μg/mLであった。TELのH. influenzaeに対する抗菌活性はAZMとほぼ同等であり, CAMよりも強かった。1999~2001年の日本での臨床試験の間にTEL耐性S. pneumoniaeまたはH. influenzae菌は出現しなかった。

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