日本化学療法学会雑誌
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新生児における遊離ビリルビン濃度に与える抗菌薬の影響
山藤 満佐藤 吉壮岩田 敏秋田 博伸砂川 慶介
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2004 年 52 巻 10 号 p. 574-582

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抄録

新生児領域における遊離ビリルビン濃度に与える抗菌薬の影響について検討した。Ampicillin (ABPC), cefotaxime (CTX), nomoxef (FMOX) の3薬剤は総ビリルビン濃度に対する遊離形ビリルビン分率 (遊離ビリルビン比 (UB/TB)) を増加させ, cefozopran (CZOP), ceftazidime (CAZ) の2薬剤はUB/TBの増加を中等度に増加させたが, ceftriaxone (CTRX), aztreonam (AZT) の2薬剤はほとんど影響を与えなかった。出生体重別の検討では, ABPC, CTX, FMOX, CAZ, CZOP, の5薬剤で低出生体重児においてUB/TBを増加させる傾向が認められたが, CTRX, AZTの2薬剤では体重によるUB/TBへの影響の差異は認めなかった。一方, コントロール群に比較しすべての薬剤投与時において総ビリルビン濃度は低値を示し, 有意差を認めた。一方, 遊離ビリルビン濃度もすべての薬剤投与時において低下傾向を示したが, その程度はわずかであることが認められた。以上の結果から, 今回検討した7種の抗菌薬はビリルビンの血漿蛋白結合を阻害する傾向は認められたが, 遊離形ビリルビン濃度をほとんど変化させず, 新生児領域での使用は安全性が高いと思われた。

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