日本化学療法学会雑誌
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Pseudomonas aeruginosa敗血症モデルにおけるbiapenem, meropenemおよびceftazidime投与時の臓器障害抑制作用
武藤 祐子高田 利彦川畑 敏枝疋田 宗生渡部 宏臣
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2004 年 52 巻 4 号 p. 209-213

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抄録

Pseudomonas aeruginosa感染によるラット敗血症モデルでのカルバペネム系薬のbiapenem (BIPM), meropenem (MEPM) およびセフェム系薬のceftazidime (CAZ) の治療効果および種々臓器障害への影響を比較した。
敗血症モデルは, cyclophosphamide処置ラットに108CFUのP. aeruginosaを静脈内投与で感染させて構築した。抗菌薬は感染2時間および8時間後皮下投与した。血液中生菌数は感染12時間後に測定した。生体反応の相対評価として, 臓器障害パラメータの乳酸脱水素酵素 (LDH), BUN, GPTも感染12時間後に測定した。
BIPM, MEPMおよびCAZはいずれも有意な治療効果を示し, その効果はほぼ同等であった。BIPMはLDHに対しても有意な抑制効果を示したが, MEPMおよびCAZは抑制効果を示さなかった。さらにBIPMのLDH抑制効果はCAZの効果より有意に強かった。BUNまたはGPTに対して, BIPMおよびMEPMは有意な抑制効果を示した。白血球数および血小板数に対し, いずれの抗菌薬も影響を示さなかった。
本研究では, P. aeruginosa感染による敗血症モデルに対し, 治療効果はカルバペネム系薬とセフェム系薬でほぼ同等であるが, 臓器障害抑制効果の面ではカルバペネム系薬BIPMおよびMEPMはセフェム系薬CAZより優ることが示された。さらに, 臓器障害抑制効果の面ではBIPMはMEPMより優る可能性も示唆された。以上より, P. aeruginosa感染によるsepsis治療においてカルバペネム系薬を選択することは予後改善の面でよいと考えられる。

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