日本化学療法学会雑誌
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β-ラクタム系薬の開発
石黒 正路
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2004 年 52 巻 7 号 p. 361-366

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抄録

β-ラクタマーゼの変異による広範なβ-ラクタム剤への親和性と基質分解能の向上, そして変異によるPBPのβ-ラクタム剤への親和性の低下によってβ-ラクタム系抗菌薬に対する耐性が獲得されており, β-ラクタム剤にはこれらの耐性を克服できる新しい誘導体の開発が望まれる。すなわち, 変異したPBPに対して高い親和性を示し, 変異したβ-ラクタマーゼ (ESBL) に抵抗性を有する構造をもつβ-ラクタム剤がデザインされる必要がある。
X線結晶解析により, PBPおよび多くのβ-ラクタマーゼの結晶構造が明らかとなり, またMRSAのPBP2aやβ-ラクタム系抗菌薬の親和性が低下したPBP2xのミュータントの立体構造も明らかにされている。このような構造情報から得られる重要なアミノ酸残基の役割の解明とコンピュータによるドッキングシミュレーションを組み合わせることによって, β-ラクタム剤の加水分解機構を解明でき, これをもとにMRSAに対して親和性を有し, β-ラクタマーゼに安定な5, 6-シスペネム化合物などのデザインが可能となっている。

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