日本化学療法学会雑誌
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Gatifloxacinの血糖値異常副作用発現に関する調査成績
患者背景およびリスク要因の分析
玉山 俊行田中 逸斎藤 篤
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2004 年 52 巻 9 号 p. 521-529

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抄録

ニューキノロン系薬gatinoxacin (GFLX) を含有するガチフロ(R)錠は, 2002年6月に発売された。
ガチフロR錠の発売後, 数力月の間に低血糖あるいは高血糖の副作用が報告され, 2003年3月には緊急安全性情報が発出されて糖尿病患者への投与が禁忌となった。
今回, 2003年3井1までに報告された重篤な血糖値異常報告症例89例についての調査を行い, 得られた患者背景等のデータから血糖値異常のリスク要因を解析した。結果は次のとおりである。
(1) 89例のうち低血糖症例が75例 (84.3%), 高血1糖症例が14例 (15.7%) であった。
(2) 糖尿病合併例は低血糖症例で58例 (77.3%), 高血糖症例で11例 (78.6%) と高率であった。
(3) 65歳以上の患者は低血糖症例で68例 (90.7%), 高血糖症例で10例 (71.4%) であった。
(4) 低血糖症例での腎機能異常は, 腎機能を判定できた55例中49例 (89.1%), 高血糖症例でのそれは8例中7例 (87.5%) であった。
以上の結果から, GFLXによる血糖値異常の主なリスク要因として, 「糖尿病」, 「加齢」, 「腎機能異常」が推察された。GFLXによる血糖値異常の副作川を防ぐためには, リスク要因を理解し, 添付文書に従って適切に使用することが大切である。

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