日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
Doripenemの健康成人における第I相臨床試験
中島 光好尾熊 隆嘉
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 53 巻 Supplement1 号 p. 104-123

詳細
抄録

健康成人男子志願者計46名を対象に, 新規注射用カルバペネム系抗菌薬doripenem (DRPM) の安全性および薬物動態を検討するための第1相試験 (薬物動態試験) を行った. 試験内容は, 1回125-1,000mgの点滴静注による単回投与試験, 1回500mgおよび1,000mg 1日2回6日間計11回の点滴静注による反復投与試験および1回500mg 1日3回1日間, 計3回の点滴静注による反復投与試験であった.
1. 安全性
単回投与試験で副作用は認められなかった、また, 全試験を通じて脳波検査および理学的検査に異常は認められなかった. 反復投与試験時に, 自他覚所見および臨床検査値に軽度の症状や軽度の異常変動が認められたものの, 臨床的に問題となるほどのものはなかった.
2. 薬物動態
単回投与試験において, CmaxおよびAUCはDRPMの投与量に比例して増加し.本薬の体内動態の線形性が確認された. DRPMの消失半減期はいずれの投与量においても約1時間で, 投与後24時間までにDRPMの未変化体として約75%が尿中に排泄された.
反復投与試験成績から, DRPMの体内動態は, 反復投与による変化はほとんどなく, 蓄積性もないことが判明した.
3. 血清蛋白結合率
測定時点ごとの平均値として5.4-15.2%であった.
4. 腸内細菌叢
DRPM投与による変動はわずかであった.
以上の成績から, DRPM 1,000mgまでの投与は, 安全性に問題はなく, 反復投与によっても体内動態は単回投与時とほとんど変化せず, 蓄積性はないことが明らかとなった.

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top