2005 年 53 巻 Supplement1 号 p. 130-135
腎機能障害患者におけるdoripenem (DRPM) の体内動態を健康成人男性の成績と比較検討した. Ccrを指標として腎機能障害の程度により軽度障害患者: 50≦Ccr<70mL/min (I群, n=4), 中等度障害患者: 30≦Ccr<50mL/min (II群, n=6), 高度障害患者: Ccr<30mL/min (III群, n=2) の3群に分け, 健康成人男性を対象とした第I相臨床試験の成績と比較した.
DRPM250mg単回投与後のAUCは健康成人群20.26μg・h/mL, I群40.55μg・h/mL, II群48.21μg・h/mL, III群64.31μg・h/mLであり, Ccrの低下に応じて増加した. 血中消失半減期はそれぞれ0.90, 1.98, 2.16, 3.56時間で, Ccrの低下に応じて延長した.
投与開始後24時間までの尿中排泄率は健康成人群74.5%, I群63.9%, II群67.3%, III群58.2%であり, Ccrの低下により減少する傾向が認められた.
副作用は認められなかった.
以上の成績より, 本薬剤を腎機能低下例に使用する場合には投与量, 投与間隔を充分に考慮する必要があると考えられた.