日本化学療法学会雑誌
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Doripenemのin vitroおよびin vivo抗菌活性
西野 武志大槻 雅子井澤 政明
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2005 年 53 巻 Supplement1 号 p. 32-46

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抄録

Doripenem (DRPM) はグラム陽性菌および陰性菌に対し幅広い抗菌スペクトルを有し, かつ強い抗菌力を示した. 各種臨床分離株に対するDRPMの抗菌力はmethicillin-susceptible Staphylococcus aureusに対するMIC90が0.1μg/mL, Streptococcus 属に対するMIC90は0.025μg/mL以下を示し, imipenem (IPM) やpanipenem (PAPM) に比べて1/2程度劣るが, meropenem (MEPM) より2倍程度優れた結果であった. 一方, 多くのグラム陰性菌に対してDRPMのMIC90は0.78μg/mL以下の強い抗菌力を示し, その抗菌力はIPMおよびPAMより2-8倍程度強かったが, MEPMに比べて1/2-1/4劣っていた. また, DRPMはPseudomonas aeruginosaに対し3.13μg/mLのMIC90を示し, その抗菌力はIPMやMEPMと同程度, PAPMやceftazidime (CAZ) に比べて優れていた. DRPMはS. aureus, EscherichiacoliおよびP. aeruginosaに対して作用濃度に応じた強い殺菌作用を示し, CAZが静菌的作用しか示さなかった定常期初期のE. coliおよびP. aeruginosaに対しても殺菌的に作用した. また, DRPMはP.aeruginosaに対してpostantibiotic effect (PAE) を示し, その時間は2.0時間でありIPMと同程度であった. これらの優れたin vitro抗菌力を反映して, 種々の感染菌による各種マウス感染モデルに対しDRPMは良好な治療効果を示した. 特に, P. aeruginosa全身感染モデルに対するDRPMの治療効果はimipenem/cilastatin (IPM/CS), meropenem/cilastatin (MEPM/CS) と同程度であり, CAZに比べて優れていた. また, DRPMの実験的マウス肺および尿路感染に対する治療効果でもIPM/CSやMEPM/CSと同様にin vitro抗菌力を反映した優れた治療効果を示した.

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