2006 年 54 巻 1 号 p. 39-42
Mycobacterium avium complex (MAC) 感染症は抗菌化学療法に抵抗性であり, 新しい治療レジメンの開発が望まれている。今回はキチン, キトサンおよびキトサンオリゴ糖のマウス腹腔マクロファージ (MΦ) 内感染MAC菌に対するclarithromycin (CAM)/rifampicin (RFP) の抗菌活性発現に及ぼす効果について検討した。その結果, キチン単独ではMΦ 内MAC菌の増殖能に影響を与えなかったが, キチンをCAM/RFPと併用した場合にはCAM/RFPの殺菌能の増強がみられた。同様な効果はキトサンでも認められたが, キトサンオリゴ糖では認められなかった。次に, MAC全身感染モデルマウスに対するキチン・キトサン (経口投与) とCAM/RFP (皮下投与) の感染治療実験を試みたが。CAM/RFPのin vivo治療効果を増強させるような活性は認められなかった。したがって, 別の治療レジメンを考える必要があるものと思われる。