日本化学療法学会雑誌
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モルモットの播種性カンジダ症および肺アスペルギルス症モデルにおけるmicafunginの治療効果
池田 文昭松本 哲若井 芳美中井 徹波多野 和男牧 克之
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2006 年 54 巻 3 号 p. 255-259

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抄録

モルモットを用いて致死性の播種性カンジダ症および肺アスペルギルス症モデルを作製し, micafungin (MCFG) およびvoriconazole (VRCZ) の延命効果を検討した。感染したモルモットにMCFGを1日2回, 9日間皮下投与してvehicle投与群と生存数変化を比較したところ, 播種性カンジダ症: 0.32mg/kg投与群, 肺アスペルギルス症: 1.0mg/kg投与群において有意な延命効果が認められた。また, VRCZも1日2回, 9日間経口投与して生存数変化を無治療群と比較したところ, 播種性カンジダ症: 1.0mg/kg投与群, 肺アスペルギルス症: 3.2mg/kg投与群で有意な延命効果が認められた。モルモットに両薬剤の5mg/kgを皮下または経口投与したときの血漿中CmaxおよびAUCはヒトにMCFGを50~75mg/body (ヒトの体重を50kgとしたとき1.0~1.5mg/kg) またはヒトにVRCZを3.0~4.0mg/kg静脈内投与したときと近似していることから, MCFGおよびVRCZの臨床投与量において播種性カンジダ症および肺アスペルギルス症に対して有効性を示すことが示唆された。

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