日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
小児におけるteicoplaninの母集団薬物動態解析
小林 昌宏有馬 三佐代木村 利美石井 正浩矢後 和夫砂川 慶介
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 55 巻 1 号 p. 17-22

詳細
抄録

乳児期から小児期におけるteicoplanin (TEIC) の母集団薬物動態を, 非線形混合効果モデル (Nonlinear Mixed Effects Model: NONMEM) を用いて解析した。対象は, 北里大学病院にてTEICが投与され, therapeutic drug monitoring (TDM) が実施された患児63例 (28日齢~16歳) とした。母集団パラメータの算出は, クリアランス (CLTEIC), 分布容積 (VdTEIC) を薬物動態パラメータとし, 1-コンパートメントモデルを適用した。個体間変動は指数誤差モデルを, 残差変動は相対誤差モデルを使用した。TEIC薬物動態の解析には, 年齢 (Age), 性別 (Gender), 体重 (wt), 血清クレアチニン値 (Scr), 血清アルブミン値 (Alb) を共変量候補として検討した。測定された血漿中TEIC濃度 (111ポイント) は, 4.4~39.1μg/mLであった。最終的に次の母集団薬物動態パラメータが得られた。CLTEIC=0.00836× (wt/Scr) 0786 (L/hr) VdTEIC=0.81×wt (L)
個体問変動は, CLTEIC;26.7%, VdTEIC;32.7%, 残差変動は2.8μg/mLであった。CLTEICは, 腎重量の発育推移によく近似しており, 小児期の腎機能の発育を反映していることが示唆された。モデルバリデーションの結果は良好であり, 長期入院患児を中心とした小児のTEIC薬物動態評価に有用であると考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top