2007 年 55 巻 3 号 p. 201-210
急性中耳炎をはじめとして耳鼻咽喉科領域感染症の分野は, 抗菌薬耐性菌の出現により治療指針の大きな過渡期を迎えつつあり, 診療にかかわる医師が明確な治療指針をもつことが求められている. 小児の中耳炎が難治化した原因として, 細菌の側からは急速に抗菌薬耐性化が進行していること, 宿主の側からは起炎菌特異的な免疫能の低下と, 集団保育の低年齢化などの環境の大きな変化があげられる. このような難治化した中耳炎を治療する場合, 重症度に基づいて抗菌薬を選択し, その投与回数および投与量においては抗菌薬の体内動態 (PK/PD理論) をふまえた投与方法が必要である. このような基本的な考え方をふまえたうえで, ガイドラインを理解し実践することが必要である.