日本化学療法学会雑誌
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慢性呼吸器疾患の二次感染に対するgatifloxacinとlevofloxacin5日間投与の比較試験
中村 守男
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2007 年 55 巻 6 号 p. 451-462

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抄録

[目的] 慢性呼吸器疾患の二次感染に対してgatinoxacin (GFLX) またはlevofloxacin (LVFX) を5日間投与することの有用性を比較検討した。本研究では治療期間の短縮に加えて, 医療経済性についても検討を行った。
[対象および方法] 2006年9月から2007年4月の間に, 慶應義塾大学病院呼吸器内科および関連病院を受診した慢性呼吸器疾患の二次感染患者74例を対象とした。薬剤割付はGFLX群 (65歳以上: 1回100mgl日2回投与, 65歳未満: 1回200mg1日2回投与), LVFX群 (1回200mg1日2回投与) の2群に無作為割付を行い, 投与日数は5日間とした。
[結果] 対象74例において有効性を61例 (GFLX群: 32例, LVFX群: 29例), 副作用を74例 (GFLX群: 37例, LVFX群: 37例), 臨床検査値異常を63例 (GFLX群: 30例, LVFX群: 33例) で評価した。臨床効果の有効率はGFLX群で90.6%(29/32), LVFX群で89.7%(26/29) であり, ほぼ同等の結果が得られた。副作用はGFLX群で2例, 臨床検査値異常はGFLX群で1例, LVFX群で1例認められたがいずれも軽度であった。
[結論] 慢性呼吸器疾患の二次感染に対する標準的な治療は抗菌薬7日~14日間投与である。しかし, 本研究の結果から両群とも5日間投与において高い有効性が得られ, 安全性も高かったことから治療期間短縮の有用性が示唆された。医療経済性の側面からは, GFLXはLVFXに比べて薬価が安価なため薬剤費を低額に抑えることができるといえる。以上より, 慢性呼吸器疾患の二次感染に対してGFLXを5日間投与することは有用であると考えられた。

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