日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
慢性呼吸器病変の二次感染患者を対象としたgarenoxacinの臨床第III相試験
PK/PD試験
小林 宏行谷川原 祐介渡辺 彰青木 信樹佐野 靖之小田切 繁樹二木 芳人河野 茂斎藤 厚
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 55 巻 Supplement1 号 p. 144-161

詳細
抄録

慢性呼吸器病変の二次感染患者を対象に新規の経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacinmesilate hydrate (GRNX) 400mgを1日1回投与し, 有効性および安全性を評価した。また, 薬物動態検索に資すべく採血を行い, population pharmacokinetics (PK) 解析により, PKおよびpharmacokinetics/pharmacodynamics (PK/PD) パラメータと有効性および安全性との関係を観察し・臨床推奨用量の妥当性および外国での臨床データとの類似性も検討した。
日本化学療法学会の判定基準による有効率は, 投与終了時87.8%(108/123), 投与終了7日後83.7%(103/123) であり, 6例に再燃がみられた。細菌学的効果 (菌消失率) は投与終了時89.6%(60/67例), 投与終了7日後85.1%(57/67例) であった。呼吸器感染症の主要な起炎菌であるStreptococcus pneumoniae, Staphylococcus aureus, Haemophilus influenzaeおよびMomxella (Bmhamlla) cafarrhalisの菌消失率は, 投与終了時でそれぞれ100%(13/13), 7/8, 100%(28/28) および8/8, 投与終了7日後でそれぞれ100%(13/13), 6/8, 96.4%(27/28) および7/7であった。特に, penicillin-resistant S.pneumoniae (PRSP) 3株およびpenicillin-intermediate resistantS.pmumoniae (PISP) 5株すべてが消失した。
本試験で副作用は19例26件発現し, その発現率は14.0%(19/136) であった。主な副作用は下痢2.9%(4/136), 軟便2.2%(3/136), 悪心2.2%(3/136) 等の胃腸障害であった。また, 薬剤との因果関係が否定できない臨床検査値異常は26例49件発現し, その発現率は19.3%(26/135) であった。このうちAsT増加10.4%(14/135), ALT増加9.6%(13/135), 血中アミラーゼ増加3.8%(5/130) およびγ-GTP増加3.0%(4/133) などの頻度が高かった。また, AUC0-24およびCmaxと有害事象発現率との間に相関性はみられなかった。
fAuc0-24/MICが50を超える症例の割合は90%以上を占め, その投与終了7日後の有効率は91.7%(55/60), 一方, fAUC0-24/MICが50以下の症例での有効率は3/6であった。これらの成績は外国の臨床試験結果 (それぞれ98, 7%, 73.3%) とほぼ同様であった。
以上, これら呼吸器感染症に対するGRNX400mg1日1回投与は臨床推奨用量として妥当であると考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top