日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
急性咽喉頭炎, 急性扁桃炎および急性鼻副鼻腔炎に対するazithromycin単回投与製剤の多施設共同, 非盲検非対照試験
山中 昇保富 宗城藤原 啓次
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 56 巻 5 号 p. 525-537

詳細
抄録

マクロライド系抗菌薬であるazithromycin (AZM) の新剤型, 経口懸濁液用の徐放性製剤 (単回投与製剤) の急性咽喉頭炎, 急性扁桃炎および急性鼻副鼻腔炎患者を対象とした第3相, 多施設共同, 非盲検非対照試験を実施し, AZM単回投与製剤29単回経口投与時の有効性および安全性を検討した。
主要評価項目である臨床効果解析対象集団の第8日目の臨床効果 (有効率) は, 全体で88.5%(77/87例) であり, 疾患別では急性咽喉頭炎97.1%(34/35例), 急性扁桃炎94.4%(17/18例) および急性鼻副鼻腔炎76.5%(26/34例) であった。急性鼻劇鼻腔炎では, 投与後の日数経過に伴い有効率が第15日目91.2%, 第29日目100%と上昇した。
細菌学的効果解析対象集団の第8日目の細菌学的効果 (菌消失率) は, 全体で78.1%(25/32例), 疾患別では急性咽喉頭炎92.3%(12/13例), 急性扁桃炎66.7%(4/6例), 急性鼻副鼻腔炎69.2%(9/13例) であった。急性鼻副鼻腔炎では, 投与後の日数経過に伴い菌消失率が上昇し, 第15日目に100%(13/13例) となった。
安全性について, 因果関係を否定できない有害事象の発現率は54.5%(54/99例) であり, 主な有害事象は下痢, 腹痛であったが, いずれの有害事象も回復が確認された。重度および重篤な有害事象, 死亡例および治験中止にいたった有害事象は認められなかった。
以上の成績から, AZM単回投与製剤は, 耳鼻咽喉科領域感染症 (急性咽喉頭炎, 急性扁桃炎および急性鼻副鼻腔炎) に対して2g単回経口投与により, 優れた臨床効果および良好な忍容性を示し, 実際の臨床現場では, 服薬コンプライアンスを含め, 有用性の高い抗菌薬と考えられた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
次の記事
feedback
Top