日本化学療法学会雑誌
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Vincristineとitraconazoleにより重篤な薬物相互作用を来した急性リンパ性白血病の1例
長瀬 大輔名取 一彦石原 晋藤本 吉紀和泉 春香倉石 安庸
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2008 年 56 巻 6 号 p. 634-637

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抄録

vincristine (VCR) とitraconazole (ITCZ) の相互作用と思われる有害事象を来した急性リンパ性白血病 (ALL) を経験した。症例は51歳男性, 腰背部痛を主訴に受診。精査の結果ALLと診断され, VCRを含む多剤併用療法と真菌感染予防としてITCZの内服を開始。開始後肝障害に加え, 便秘, 痺れや低Na血症等, VCRによると思われる有害事象を認めた。ITCZを中止, 水分制限, Na補充などで改善を得た。以降ITCZをfluconazoleへ変更, 有害事象は認めず化学療法を継続している。ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍薬はcytochrome P450の一つであるCYP3A4で代謝されるが, アゾール系抗真菌薬はCYP3A4阻害薬として知られており, 特にITCZはCYP3A4を強力に阻害するとされる。本症例はこれらの相互作用によりVCRの代謝が遷延, 有害事象が重篤化したと考えられた。

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