75 巻 (2004) 1 号 p. 45-52
混合ルーメン微生物にWolinella succinogenesを添加して培養した実験で,本菌は硝酸・亜硝酸還元を利用してエネルギーを獲得するため,硝酸の添加により菌数がより長時間維持された.本菌の添加は硝酸還元を促進し,とくに亜硝酸還元を大きく促進したため,亜硝酸の蓄積が減少した.その結果,亜硝酸による発酵阻害なしにメタン生成が大きく減少した.さらにフマル酸を添加したところ,その還元によりさらに多くのエネルギーが獲得されて本菌の添加効果がさらに増大した.ヤギを用いた実験でも,ルーメン内の本菌の数は硝酸塩の添加により増加し,さらにフマル酸を添加したところ,さらに増加した.硝酸とフマル酸の添加によりルーメン内バクテリア総量あたりの硝酸および亜硝酸還元酵素の活性,すなわちルーメン内の硝酸および亜硝酸還元能が高くなった.したがって,本菌の数を増加させるためには,硝酸とフマル酸の供給が有効であろう.