76 巻 (2005) 1 号 p. 7-13
冬季(12月~3月)に調査したホルスタイン種泌乳中期牛101頭のフィールドデータを用いて,給与飼料の構成要因(飼料要因)が乳量,乳タンパク質率および無脂固形分(SNF)率に及ぼす影響を多変量解析(重回帰分析および線形判別分析)により検討した.乳量に関する重回帰式の寄与率(R2)は0.76(P<0.01)であり,飼料要因の中で乾物(DM)給与量の相対寄与率が77.0%と顕著に高く,粗タンパク質(CP)含量と合計した相対寄与率は95.9%を占めた.一方,乳タンパク質率に関する重回帰式(R2=0.50 : P<0.01)では,もっとも高い相対寄与率を持つ飼料要因はDM給与量52.3%,次いで粗脂肪(EE)含量24.5%,粗飼料中の可消化養分総量(TDN roughage)含量14.4%の順であった.SNF率に関する重回帰式では,DM給与量の相対寄与率が47.9%,EE含量23.5%,TDN roughage含量17.7%の順であった.これらの重回帰分析結果に基づき,乳量,乳タンパク質率およびSNF率について線形判別分析を行った.線形判別関数式の説明変数は,乳量をもっともよく予測すると考えられたCP給与量(DM給与量×CP含量)と,乳タンパク質率およびSNF率に影響を及ぼしていると判断されたEE含量,TDN roughage含量の3項目とした.線形判別分析の結果から,4%脂肪補正乳(FCM)が37kg/日以上であれば,乳タンパク質率およびSNF率がそれぞれ3.3%以上,8.9%以上の乳質を得ることは難しいと考えられた.しかし,この乳量未満で,給与飼料中のEE含量が3.7%以下,かつTDN roughage含量が55.5%以上であるような条件が満たされれば,乳タンパク質率3.3%以上およびSNF率8.9%以上を期待できると推察された.