日本畜産学会報
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一般論文
中国における学校牛乳制度の現状と将来展望
鄧 健小林 信一小泉 聖一
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2006 年 77 巻 2 号 p. 269-277

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抄録
中国における学校牛乳制度は1999年に開始されたが,本稿ではこの制度の目的,意義および現在までの発展過程を明らかにするとともに,将来発展のための課題について検討した.この制度の目的は,国民,とくに小中学生の栄養と健康状態の改善,酪農・乳業の発達を通じた農業構造改善や雇用拡大,そしてそれらによる農家所得の向上などである.学校牛乳制度実施以来3年間で,学校牛乳の飲用児童生徒数は40万人から5倍の200万人にまで増加し,4,468校の小中学校で,年間210日間学校牛乳が供給されるまでになっている.この制度は児童生徒の栄養状況や,農家の所得状況を一定程度改善したが,今後さらに発展するためには,牛乳の品質向上,農村部への普及のための財政支援政策などの問題を抱えている.
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© 2006 公益社団法人 日本畜産学会
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