抄録
本研究の目的は,アンケート調査を行い,肉牛飼養者の属性や意識の差異が農家ごとの枝肉価格と枝肉形質の最良線形不偏推定値(BLUE)に与える影響を調べることであった.アンケート調査は,安愚楽牧場と契約している農家を対象に行い,分析には肥育農家91戸のデータを用いた.最良線形不偏推定値(BLUE)の推定には,安愚楽牧場で2004年1月から2005年3月までに出荷された20,346頭の枝肉成績を用いた.農家ごとの枝肉価格と枝肉形質に関するBLUE値を目的変数とし,農家の属性や意識を取り入れ最小2乗分散分析を行った.分析の結果,経済性と生きがいをともに重視している農家の方が良質の枝肉を生産していることが明らかとなった.さらに,枝肉単価と飼養規模の間には2次曲線の関係があり,規模が大きくなるにつれ,枝肉単価は逓減し,932頭を境に増加していくことが明らかとなった.