日本畜産学会報
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一般論文(原著)
多排卵処理後に採取した卵胞内卵子と性選別精液の体外受精によるウシ性判別胚の生産
秋山 清坂上 信忠中川 浩瀬田 剛史河合 愛美長井 誠林 みち子的場 理子稲葉 泰志松田 秀雄今井 敬下司 雅也
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2016 年 87 巻 2 号 p. 107-113

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抄録

ホルスタイン種泌乳牛に多排卵処理(SOV区)または卵胞発育同調処理(FGT区)を行った後に生体内卵子吸引により卵胞内卵子を採取した.卵子はホルスタイン種の性選別精液で体外受精し,性判別胚の生産効率と子牛生産状況を調査した.採取卵子数は試験区間に有意差は認めなかったが,SOV区は採取卵子の62.1%が体内成熟卵子であり,FGT区はすべて未成熟卵子であった.媒精後7~9日目の胚盤胞期胚率は試験区間に有意差は認めなかったが,供卵牛1頭当たりの胚盤胞期胚数はSOV区が有意に多かった(P<0.05).また,性判別胚の移植後の受胎率,在胎日数および産子の生時体重は試験区間に有意差は認められず,産子の95.0%が雌であった.このことから,多排卵処理後のホルスタイン種泌乳牛から採取した卵子と性選別精液を体外受精することで多数の性判別胚を得ることが可能であり,後継牛の計画的生産に利用できることが示唆される.

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