牛舎排水浄化処理施設から排出される温室効果ガス(GHG)を実測し,GHG発生要因の解明を行うとともに精確な排出係数の算定を実施した.試験は岡山県農林水産総合センター畜産研究所内の曝気槽(24m3)と沈殿槽(2.6m3)からなる,乳牛40頭規模の連続式活性汚泥浄化処理施設で行った(35.02N 133.50°E).曝気量は1.5m3/m3/時とし,排気は曝気槽上部に設置したチャンバーにより捕集,排気中の一酸化二窒素(N2O),メタン(CH4),アンモニア(NH3)を光音響マルチガスモニタにより連続測定した.測定は2008年~2013年の間で15回行い,浄化処理施設からのGHG排出量と投入全窒素および有機物から排出係数を算出した.測定結果に基づく排出係数はN2O 2.88%,CH4 0.30%となり,現行の排出係数よりN2Oで低く,CH4で高い結果となった.また,N2Oの排出は汚水のBOD/N比が6以下,COD/N比が2.5以下になると増加することが確認されるとともに,排出係数が極めて高い期間が存在した.CH4の排出は貯留槽からの持ち込みが原因の一つと考えられた.