日本畜産学会報
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技術報告
汚水処理システムに対する養豚農家の選好:離散型選択実験による評価
清水 祐哉大石 風人園田 裕太荻野 暁史長田 隆広岡 博之
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2021 年 92 巻 3 号 p. 361-369

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抄録

本研究では,汚水処理システムのどのような属性を養豚農家が重要視しているかを定量評価するため,4道県の養豚農家を対象にアンケート調査による離散型選択実験を行った.汚水処理システムに対し,「水質の改善度」「臭気の除去力」「技術の難易度」「費用」に加え,温室効果ガス(GHG)削減効果を示す「GHG削減量」の5属性を設定して選択セットを作成し,農家に提示した.その結果,「水質の改善度」が最も大きな選好の値となり,予想通り農家は水質汚濁防止法による暫定排水基準を強く意識していることが示された.また現状では規制対象外の「GHG削減量」に対しても,わずかではあるものの正の選好を示すことが明らかとなった.今後,環境改善に関する汚水処理システムの属性に対し農家の支払意志をより向上させるには,環境改善の重要性をさらに農家に周知し,その具体的な取り組み方策を提示することが重要であると示唆された.

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