2021 年 92 巻 4 号 p. 471-475
鹿挽肉のpHとモデルソーセージの理化学特性およびテクスチャー特性との関係について検討を行った.野生ニホンジカ(n=11)の胸最長筋(M. longissimus thoracis)から挽肉を調製してpHを測定した.挽肉にNaClを混和し,加熱してモデルソーセージを調製し,保水性,色調,およびテクスチャー特性を測定した.鹿挽肉のpHとモデルソーセージのL*値およびb*値との間に有意な負の相関が認められ,a*値との間に有意な正の相関が認められた.また,鹿挽肉のpHとモデルソーセージのクッキングロスおよび付着性との間に有意な負の相関が認められ,凝集性およびガム性荷重との間に有意な正の相関が認められた.本研究の結果から,鹿挽肉のpHが高くなるのに伴って,モデルソーセージの色調および加熱中の保水性が高くなり,また喫食時にばらけにくいと評価される可能性が示された.