19 巻 (1949) 1-4 号 p. 113-118
豚の人工授精に於て注入すべき精液め適量を定めるために232頭の牝豚に283囘の實驗を行つて次の結果を得た。但し注入精液は膠樣物を取除いた液體部のみを用いた。
(1) 受胎のために必要で且つ充分な注入精液量は50ccであるが,24時間以内の保存で精子數の多い精液ならば30ccでよい。(受胎した最少精液量は10cc)
(2) 受胎のために必要で且つ充分な注入精子數は24時間以内の保存のものは50億,それ以上のものは70億である。(受胎した最少精子數は5.93億)
(3) 保存精液は注入時に適當な稀釋液を加えることによつて受胎率が向上される。精液の稀釋率は特に精子の多い精液でない限り2~3倍が良い。(受胎した最大稀釋倍率は6倍(精液1:0.7%食鹽水5))
(4) 上記の注入條件を滿たした場合の受胎率は次の通りである。
精液保存時間 24時間 24~48 48~75以内 時間 時間受胎率 授精囘數に對する 76.8% 62.5% 28.6%授精頭數に對する 88.7% 71.4% 40.0%1受胎に要した授精囘數 1.3囘 1.6囘 2.5囘(受胎した精液最長保存時間は73時間30分)
(5) 注入時精子の50~60%が稍活〓な運動をしていたもので受胎した例があるが一般には70%以上の精子が活〓な運動を示すことが望ましい。保存によつて所謂Anabiosisを起した精子をそのまま活力を恢復させずに注入しても受胎に支障はない。
(6) 産仔數は液量又は精子數の多寡によつての差異は認められないが,精液の保存時間が長くなる程少くなる傾向が認められる。保存時間の短かい精液を用いた場合の産仔數は自然交配の場合と大差はない。